Ⅱ:全体験するプロジェクトワーク

社会において自分の仕事をみつけていくには、自らの発想を実現する力を養う必要があります。建築・社会環境工学科では、実際のプロジェクトを通して、社会の中での課題発見、プロジェクトの企画立案、実施運営にわたる一連の流れを全体験することができます。様々な人との関わりのなかで実現するプロジェクトを通して、自分の関心や能力を発見し、未来の仕事へつなげることができます。

一つの活動の初めから終わりまでを体験できる「プロジェクトワーク」というプログラム

プロジェクトワークとは、学習者自らが話し合って計画をたて、実際に教室の外で情報を集め、作業の結果を持ち寄って一つの成果にまとめる活動です。一つの活動の初めから終わりまでを体験するのことのできる実践的な教育プログラムです。

震災の復興現場、産学官連携事業の現場など、仕事に直結する体験ができる授業や実習

せんだいスクール・オブ・デザイン演習課題のなかには、東北大学都市・建築学専攻がエンジンとなっている、地域と連動した新しい教育プログラム「せんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)」と連続する課題もあります。さまざまな人々との関わりのなかで実践的なプロジェクトワークを体験することができます。その一例として、津波被災地における鎮魂のランドスケープを計画するにあたり、SSDでリサーチした内容をもとに演習課題で設計を行い、さらに実現へむけて再びSSDで行政と協働し、事業計画を含めた提案をまとめたものなどが挙げられます。

『トンチク』の編集、サイエンスカフェのファシリテータ、『卒業制作日本一決定戦』の運営、SSDへの参画等の実践活動

卒業制作日本一決定戦設計演習以外にも、広報誌や本の編集、展覧会やイベントなどの企画運営に関わることができます。建築デザイン系の活動を紹介している広報誌『トンチク』では、教官や研究室によるプロジェクトならびにテキスト、学生の設計課題、そしてワークショップの報告などを主なコンテンツとして、記事内容の決定から原稿収集、レイアウト、発行までを全て学生が行っています。また、様々な展覧会やイベントの企画運営を通して、ノウハウを習得したり、企画力・実施力を培うことができます。

いろいろな活動場面で強調していることは、「部分」ではなく「全体」、「現在」ではなく「歴史」と「未来」を見渡すこと

プロジェクトを成功させるには、それが実現に至るまでのプロセスを理解し、全体をみながら仕事を進める必要があります。それは、現在がこれまでの時間の流れのなかでどのようにかたちづくられたのかを学び、未来を構想する力を養うことでもあります。これからの社会で意味ある仕事をするために必要となる能力を、プロジェクトワークを通して習得していきます。

在学生からのメッセージ

「復興」に関してより近く、深く関わることができます。

土生浩貴さん都市システム計画コース 社会システム計画学研究室
土生浩貴さん(宮城県泉館山高等学校出身)

東日本大震災に関わる研究の中で、支援物資の提供を行った方にアンケートを行いました。どんな思いで物資を提供したのか、復興に対してどんな思いを持っているのかという生の考えに触れ、自分自身も何か貢献したいという思いが強くなりました。今この東北大学で、「震災」「復興」というものをより近く・深く感じながら研究することができています。