代表的教員からのメッセージ
社会基盤デザインコース 久田真教授(インフラ材料工学研究室)
(愛知県立横須賀高等学校卒業)
道路や橋、鉄道や空港など、社会を支える「縁の下の力持ち」的な社会基盤構造(Infrastructure)の研究・開発をフィールトとするのが、社会基盤デザインコースです。
数100m、数100㎞にも及ぶ土木構造も、そのシステムや材料においては1㎜、1μmのスケールとなります。人々を自然災害から守り、国土に豊かな生活をもたらすためには、ミクロからマクロまでのスケールレンジで考えることが不可欠です。東日本大震災は、そのことを改めて私たちの前に突きつけました。
東北の復旧や復興、ひいては日本が再び強靭な国になるためには、東北大学が果たすべき役割は極めて大きいものです。震災を経験し、その経験を活かそうとしている教員とともに、見せましょう!ものづくりニッポンの支えとなる土木工学の底力を!
研究室紹介
数理システム設計学研究室 
山川優樹教授、辻勲平助教
私たちの研究室では、社会基盤の整備に関する多様な問題を数理的な手法によって解明しています。最近では、構造物を支える地盤の変形や強度の予測、地震を受けた後の送電鉄塔の安全性評価、地盤内の微視的な土粒子と流体の相互作用に迫る流体シミュレーションなどの研究に力を入れています。これまで構築してきた理論やコンピュータ・シミュレーション技術を武器に、今後も社会基盤の整備に関する未解明の課題に挑戦していきます。
地圏・地盤工学研究室 
山田正太郎教授、加村晃良准教授
地圏・地盤工学研究室では、地圏と地盤に関わる社会基盤構造物の調査・設計・施工・維持管理,地盤防災,地圏環境の創造と利用に資する教育・研究を行っています。大地の営みのメカニズムを探求するとともに、大地の営みと地盤工学的課題の連関を紐解きます。また、地盤災害の発生機構を解明し,効果的な防災・減災策を開発します。さらに、土質力学・地盤工学をベースとして、デジタル援用・データ駆動による革新的アプローチを積極的に導入した研究を推進します。
インフラ材料工学研究室 
久田真教授、宮本慎太郎准教授、髙橋駿人特任助教(研究)
本研究室は材料学、熱力学、電気化学、セメント化学に基づいた視点から、主としてコンクリート構造物の維持管理技術(環境外力評価、物性センシング技術、劣化シミュレーション、健全度診断手法、長寿命化技術、インフラマネジメント)、および、産業副産物や災害廃棄物(石炭灰、高炉スラグ、震災・津波がれき焼却灰,レアメタル残渣等)といった未利用資源を有効利活用した環境負荷低減型建設材料に関する研究・開発を行っています。
構造創成学研究室 
運上茂樹教授、内藤英樹准教授、何昕昊助教
我が国は世界第一級の地震国であり、構造物の耐震性の確保は必要不可欠です。本研究室では、構造物の耐震設計法の高度化、さらには損傷した部材の点検に関する研究を進めています。一方、橋やトンネルなどの多くのインフラが老朽化し、これらの維持管理も喫緊の課題です。本研究室では、老朽化したコンクリート構造物を対象に、簡便かつ信頼度の高い点検技術の開発と安全性評価手法の構築にも取り組んでいます。
計算安全工学研究室 
森口周二准教授、野村怜佳助教
地震や豪雨、津波や土砂災害による社会基盤設備の被害を最小化するためには、これらの現象のメカニズムを解明し、問題点を洗い出したうえで、信頼性の高い予測を行うことが必要です。
しかし、自然災害はその規模の大きさや発生頻度の少なさから、実験や経験則に基づく予測など従来の手法では、膨大な手間と費用を要するために対応が困難な場合も少なくありません。このような課題を解決しうる方法論が、コンピュータを用いた数値シミュレーション、すなわち「計算」です。私たちの研究室では、安全で安心な社会を実現するために、災害時の被害を予測・最小化する"計算"手法の開発に工学的な観点から取り組んでいます。
たとえば、広範囲にわたる土砂・地震災害リスクを、効果的かつ迅速に評価できる解析ツールの開発を進めています。これらの成果をさらに"見える化"し、デジタルツイン化することで、都市・地域における物的・人的被害の低減を目指しています。このように研究を通じて、災害に対してしなやか(レジリエント)な社会を構築するための、実践的かつ工学的な知見の提供を目指しています。
先進計算力学研究室 
寺田賢二郎教授、松原成志朗准教授、飛彈野壮真助教
本研究室では、マルチスケールおよびマルチフィジックスの視点から基盤構造および材料(金属、地盤、コンクリート、繊維強化プラスチックなど)の力学的振る舞いを偏微分方程式で記述して初期値・境界値問題を設定し、できる限り簡略化を排除して現象を精緻に再現するための先進的な数値シミュレーションを行うための理論・技術を開発しています。具体的には、材料や構造物単体の変形・強度特性や破壊特性の発現機構の解明と創造・制御、またそれらと流体との相互作用や変態挙動(固化・流動化の遷移挙動)など、複雑な物理現象について、デジタル空間で模擬・可視化するための世界最先端の計算力学手法の開発に取り組んでいます。研究対象は、材料設計、構造最適化、破壊・災害シミュレーション、構造・流体連成解析など多岐にわり、計算手法も有限要素法だけでなく、Material PointMethodや量子アニーリングなどの高性能化に注力しており、最新の計算手法を用途に応じて使い分けています。
先端社会基盤学研究室 
大竹雄准教授、水谷大二郎助教
先端社会基盤学とは、構造力学・土質力学・水理学・土木計画学といった伝統的な学問分野を基軸としつつも、それらの分野に捉われない、新たな土木工学の学問分野を意味します。高い災害発生率・インフラの老朽化・少子高齢化といった、我が国の現在、そしてこれからの情勢において、先端社会基盤学の重要性は益々増加してゆきます。そのような社会的要請に対して、本研究室では、土木工学の個々の領域での方法論を分野横断的に活用し、さらに、データサイエンス、確率論・統計学・最適化数理・計算機科学・計量学などを統合的に用いて、実務的課題を解決するための方法論や新たな理論を開発・提案することを目指しております。