人類最古の文字を用いて書かれた『ギルガメシュ』には、都市国家ウルクの王・ギルガメシュが森林を伐採する姿が描かれています。紀元前2600年頃、人類の歴史上、最も古い文明である古代メソポタミア文明において都市は生まれました。その後、文明の移りかわりとともに、様々な都市が生まれ、盛衰を繰り返してきました。
18世紀のイギリスの詩人ウィリアム・クーパー(1731-1800)の詩に、「神が田園を創り、人が都市を創った」(God made the country, and man made the town)という一節があります。都市とは人類の文明が生み出した偉大な創造物であり、文明の象徴であるといっても過言ではありません。都市の歴史は、人類の歴史そのものとも言えます。
「都市空間」がフィールドです
建築・社会環境工学科のフィールドは「都市空間」です。都市空間を構成する建築物や社会環境施設のデザイン、建設を通して、人類の文明の発展に貢献します。
歴史上、発展した都市は、いずれもその時代における先進的な都市空間を有していました。現代に即していえば、住居や職場を構える場としての建築物、生命に欠かせない水を運ぶ上水道、快適な暮らしに欠かせない電気やガスの供給網、友人や仲間との交遊を可能にする道路や鉄道といった交通網、自然環境と触れ合うための公園、健康的な生活に欠かせない下水道やゴミ処理施設、洪水や土砂災害から生命・財産を守るための防災施設・・・等々。これらが揃うことではじめて私たちは豊かな都市生活を送ることができるのです。
地球環境問題の解決に貢献します
地球規模で進行する地球温暖化や生態系の劣化は、人類の存亡を脅かす問題として国際的な取り組みが求められています。地球環境問題を引き起こした原因の一つに、人口増加や経済発展を背景とする自然的形態から都市的形態への土地利用の急激な変化があります。都市空間をフィールドとする建築・社会環境工学分野には、エネルギー効率が高く、環境負荷の小さな都市空間の実現を通じて、地球環境問題の解決にも貢献することが求められています。