② 都市マネージメントのリーダーとしての役割

豊かな都市空間豊かな都市空間の実現には、機能性・経済性・審美性・持続可能性等のバランスがとれた建築物や社会環境施設を設計して、建設していく必要があります。ただし、個々の構造物がほど優れていたとしても、それらが有機的に配置されなければ魅力的な都市空間は実現しません。例えば、高層ビルばかり立ち並ぶ都市や、道路ばかりが張り巡らされた都市は、決して住みやすい都市にはならないでしょう。建築・社会環境工学科で学ぶ人材には、多様な構造物が有機的につながって機能する都市ビジョンを構想し、その実現に向けて努力していくことが求められます。

幅広い知識を習得していきます

豊かな都市空間建築・社会環境工学分野の専門家となるには、幅広い知識を習得する必要があります。建築物や社会環境施設といった構造物の物理的メカニズムに関わる物理学や化学の知識に加えて、構造物を取りまく自然環境に関する知識、構造物の利用者である人間の行動や認知に関する知識までもが必要になります。建築・社会環境工学科に進学した学生は、授業や演習を通じて幅広く学び、豊かな都市空間の実現に貢献できる人材となるためのセンスとスキルを磨いていきます。

リーダーシップやコミュニケーション能力も磨きます!

充実したカリキュラム建築物や社会環境施設の建設には、多数の人間が携わります。計画を立てる人間、設計する人間、現場で施工する人間、等々です。全員が協力することで初めて機能的で美しい構造物が完成します。建築・社会環境工学科を卒業した人間には、構造物の設計・施工に必要な工学的素養に加えて、多様な個人・組織をマネージメントする能力やリーダーシップ能力が求められます。加えて、建築物や社会環境施設の利用者や地域住民の利害調整・合意形成を図るためのコミュニケーション能力も求められます。建築・社会環境工学科では、演習科目が充実したカリキュラムを用意しています。それらを受講することで、自然とリーダーシップやコミュニケーション能力が鍛えられていきます。

目指すは「都市のお医者さん」!?

都市のお医者さん建築・社会環境工学科のフィールドは、医師の仕事に例えると分かりやすいでしょう。医師は、病気の患者に薬を投与したり、怪我をした患者に対して手術を行います。病気や怪我を未然に防ぐため、栄養指導や生活習慣改善による保健も行います。人間の健康を守る上で医師が重要であることは言うまでもありません。ただし、人間の健康維持において最も重要なのは、人体に備わった神秘的な治癒能力です。医師の仕事は、人体の不思議な治癒能力をお手伝いすることにあるといっても過言ではありません。

都市を形成する原動力は、そこに暮らす人たちの生活や企業・組織の活動の積み重ねです。別の言い方をすれば、多様な人々が集う魅力的な都市には、多くの人たちが引きつけられ、更に都市が成長していくというメカニズムが働いています。しかし、都市が成長する過程で、住宅不足・遠距離通勤・水不足・環境破壊といった様々な問題が生じます。建築・社会環境工学科の卒業生は、そうした問題を克服していく上で必要な、建築物や社会環境施設の新規建設、長期利用に向けた維持管理、あるいは、既存施設の有効利用に向けての取り組みなどに携わります。建築・社会環境工学分野の仕事とは、都市の発展を阻害する要因を見定め、それらを取り除くことで、都市の発展を正しい方向へと導く「都市のお医者さん」のような仕事と言えます。