本学科の土木3コースでは毎年、学校で学んでいることが実務でどのように活かされているのかを見ることでこれからの学習に役立てようと、学外研修を実施しています。昨年まで は国内で実施していましたが、本年は初めての試みとしてシンガポールにて実施しました。近年国内では大規模の工事はなかなか行われなくなっていますが、海外ではシンガポール等々、未だ多くの大型工事が実施されている地域があります。今回の研修ではそうした大工事の現場を実際に見せていただくことで、土木工事の醍醐味を味わうことができました。
海外で活躍するニッポンの土木技術
清水建設の水路工事の現場では、シールドマシンを用いた工事を見学しました。シールドマシンとはトンネルを掘るための機械で、トンネルを掘り進めながらトンネル内の壁面をも組み立てていくという非常に優れた機械です。また佐藤工業の地下鉄駅の現場では、既にビルが建っている土地の隣に地下鉄の駅を作るという工事を見学させて頂きました。既存のビルへの影響をいかに小さくするか、大都市ならではの工事の苦労を見ることができました。地盤工学で習った知識などが実際にここで使われています。どちらの現場でも非常に多くの国籍の方が従事しており、コミュニケーションに非常に苦労する中でいかに効率よく作業するか、また事故を無くすかという国際的な現場でのマネジメントの難しさについても知ることが 出来ました。他にも多くの施設を見学させていただき、参考になることばかりでした。
異文化の体験
少しだけでしたが、自由時間もありました。夕飯はチャイナタウンで、お土産はリトルインディアで、エキゾチックな雰囲気の中、屋台で一風変わった料理をたべ るのも一興です。つれづれなるままにシンガポールリバー沿いを散歩した人もいたでしょう。火照ったからだを冷やしながら、ライトアップする社会基盤を眺め るのも、社会環境工学科の学生として感じるところが多くありました。異文化という捉えどころの無いような壁を前に、ときに笑いときに困ったりしたことはと ても貴重な経験になりました。現地での言葉は英語や中国語がほとんどで、すれ違う人は東南アジアに限らず様々な国の人々がいます。気温は年間平均28度の亜熱帯で太陽はほぼ真上にあります。日本とは違う、そんな思いに良くも悪くも打たれたことでしょう。それと同時に、普段自分たちが教室で学んでいることが、確かに社会の役に立っていることが現場での研修を通してわかったはずです。これからの社会を担うにあたり今回の海外研修は、学生にとって国境を越えて働くという選択肢を吟味する重要な経験になったのではないでしょうか。